前回,「電子工作用途ではフラックスを洗浄する必要はありません.しかし温度や湿度が高い環境で使われたり,使用電圧が数十Vと高かったり,長寿命や高信頼度が必要だったりする場合は,フラックスの洗浄を検討してください」と述べました.
そこで今回は,フラックスの洗浄剤について紹介します.
●基板上に残ったフラックス
フラックス洗浄の主な目的は,見た目はもちろん,フラックスの残渣(塩素などの活性成分などの不純物を含むフラックス成分)を除去して,イオン・マイグレーションを起こす原因を取り除くことです.
イオン・マイグレーションとは,電極間に水分と不純物がが存在する場合,そこに電界を加えることによって金属がイオン化し対向する電極に移動,デンドライト(複数に枝分かれした樹枝状の結晶)として析出する現象です.
このデンドライトが成長すると絶縁不良となり,最後には電極間がショートします.
●個人で購入できる洗浄剤あれこれ
個人ユーザは,大がかりな洗浄装置や環境対応の除外装置を準備できないと思います.
そこで,一般に販売されていて入手しやすい洗浄剤がありますので,その一部を紹介します.
▲スプレー・タイプ
- フラックスクリーナー FL-300(サンハヤト)
- 017 フラックスリムーバー (白光)
- Z-294 オーバーホールクリーナー (ホーザン)
▲小瓶入り
- フラックス除去剤 HP-10P(サンハヤト)
- フラックス洗浄剤 BS-R20B(太洋電機産業)
洗浄剤を使って洗浄してもきれいに落ちず残渣があるような場合は,はけやブラシなどを使って落とすとよいでしょう.
これらの洗浄剤は,アルコールを主成分とし,炭化水素などが添加されたものですので,使用の際には火災や換気に注意しましょう.<大西 修>