●自律移動ロボットにチャレンジ!
配膳ロボットや,人と一緒に製造ラインで働くロボットなど,いろいろなロボットが少しずつ,実用化されてきています.海外では,新型コロナ・ウイルス対策もあり,配達ロボットを実験している地域もあります.
実際にロボットを作るとなると,ハードウェアの準備にコストが掛かる上に,大規模なソフトウェアも開発することになり大変です.最初のうちはうまくいっても,ちょっとしたバグで全損,なんてこともあるかもしれません.
●ロボット開発もシミュレーションで動作を確認してから実験へ
回路を作るとき,はんだごてを握る前に,回路シミュレータで動作を確認したり,定数にあたりをつけてから試作に入ることが多いのではないでしょうか.
ロボットでも同様です.むしろ,ソフトウェアが大規模で,実験に失敗したら大変な自律移動ロボットや大型ロボットほど,シミュレーションで十分なチェックをしてから,実物を使った実験に入ります.
自律移動ロボットも,いきなり車体などのハードウェアを用意するのではなく,シミュレーション実験から始める手があります.このとき必要なのは,インターネットに接続できるパソコン1台と,やる気だけです.そしてロボットのシミュレーション環境を整備するときにお勧めなのが,Robot Operating System,ROSです.
●世界中の研究者やエンジニアと一緒に開発
世界中のエンジニアがお互いに助け合いながらロボット用のソフトウェアを開発するのに使っている環境がROSです.ROSは,LinuxなどのOSの上で動くソフトウェアで,センサやアクチュエータなどのデバイス・ドライバや,プログラム同士を繋ぐ役割を果たすと同時に,動作時のログを取ったり,動作のようすを可視化したりするツールを持っています.
ROSという共通の環境で開発することで,開発者はお互いにプログラムの流用,取得データや動作の検証ができて,開発をスピードアップできるのです.
●ROSのインストール方法からシミュレーション内で動くロボットの作り方まで
特集では,ROSを動かすOSとしてUbuntuのインストールから始めます.ROSのインストール,定番ツールのインストール,ROSのしくみを解説し,シミュレーション内で既存のロボットを動かしてみます.
その後,屋内で動かす2輪ロボットを題材に,シミュレーション用のモデルを作ってみます.同じロボットにLiDAR(レーザを使ったレーダ)を乗せて,部屋のようすを把握させてみます.
あとは,ソフトウェアを頑張って作り込んでいけば,自律移動ロボットができるはず…?まずは,それほどコストが掛からないところから手をつけてみるのはどうでしょうか.千里の道も一歩からです.