トラ技RTKスタータキット基準局用TG−RTKA,移動局用TGRTK-Bが発売されました.発売後すぐに発注された読者には,手元に届いた頃だと思います.第2回は,キットが届いたら何から始めたらよいか.何が必要になるかというお話です.そして動作確認...ここまできたらRTKの試運転もやってみましょう!.
第2回 キットが手元に届いたら
●商品構成を確認しよう
キットが届いたらまずは商品を確認しましょう.受信機とアンテナが入っています.
(1)受信機
基準局用TG−RTKAにはNEO-M8P-2-10,移動局用TGRTK-BにはNEO-M8P-0-10というモジュールが搭載されています.間違いないか確認しましょう.アンテナ端子はSMA-Jです.他にマイクロUSB端子があり,ここから受信機への給電するとともにパソコンと接続します.基板両サイドにはピンヘッダが立てられる穴が用意されており,M8Pモジュールの各端子に接続できるようになっています.ピンヘッダを立てることでUARTが1つ利用できます.(設定でUART用の端子をSPIとして使うことが可能)
詳細は以下のM8P商品サイト一番下の右にある「他のテクニカル・リソース」のリンク先をご覧ください.例えば, NEO-M8P Hardware Integration Manual ではNEO-M8Pモジュールのピンアサイメントが確認できます.
https://www.u-blox.com/ja/product/neo-m8p-series
基板のまま使うのは怖いので私は3Dプリンタでケースを作りました.何でもよいと思いますがケースに入れたほうが安心です.
(2)アンテナ
アンテナケーブルは3m弱(3mにはちょっと足らず).アンテナ裏がマグネットになっており自動車のルーフなどにくっつけて使えます.端子は3mのケーブル先にSMA-Pとなっていて,受信機にそのまま接続できます.サポートサイト第1回で説明した通り,このアンテナはGPS受信用で,BeiDou受信で5dBHz程度落ちますが,初めの一歩として理解して使う分には問題ありません.まずはこのアンテナを使って受信してみましょう.
●必要なものを揃えよう
ここからは2018年1月号第9話の内容にふれながら話を進めます.まず必要なものを揃えましょう.
(1)給電・パソコン接続ケーブル
受信機への給電とパソコンとの通信接続のため,マイクロUSBケーブルを用意してください.
(2)アンテナのグランドプレーン
アンテナ単体では性能がでません.自動車のルーフに搭載など10cm程度の面積をもった導体面にくっつける場合を除いて,2018年1月号第9話写真2に紹介されているように必ずグランドプレーンを取り付けてください.これをつけないとRTKは性能がでません.
私も100円ショップで鍋蓋を買ってきました.ステンレス製Φ185mmです.
この取っ手を外してアンテナをくっつけてみます.
こんな具合です.
(3)パソコン(Windows)
受信機に搭載されているユーブロックス社M8Pの設定のためのソフトウェアを動作させるため,Windowsパソコンを使います.USB端子で接続して設定します.
(4)受信機設定ソフトウェアu-center Windows(2018年1月号付属CDに収録)
ユーブロックス社受信機モジュールの設定を行うソフトウェアです.Windows版です.ユーブロックス社ホームページより,サポート>評価用ソフトウェア>u-center Windowsより無償ダウンロード可能です.ダウンロードしましたらインストールして下さい.
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接続する
必要なものが揃ったら接続します.
上図のように接続します.難しいことは何もありませんね.
こんな具合です.私はwindows7(Macの Parallels Desktop)環境で動作確認します.
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アンテナを設置しよう
次に動作確認をします.衛星からの信号を受信しましょう.まず窓際に移動して下さい(できればBeiDou衛星が受信しやすい南側の窓がお勧めです).アンテナを窓から出しましょう.アンテナやグランドプレーンを落とさないように注意して下さい.
事情によりアンテナを屋外に出せない場合は,窓際に置くことで受信感度は低いものの動作確認はできます.しかし,受信感度は低く,受信できる衛星も少ないため面白くありません.寒い季節になりましたがやはり屋外が最適です.車のルーフにくっつけて,周囲に建物や木々が少ない郊外に移動したり,屋上で試すのが理想的です.
私は窓の外にアンテナを置いてみます.
こんな具合です.窓の外と言っても壁際です.建物の壁で天空の半分が隠れます.RTKでは性能をみる場所としては適していません.このような環境での動作確認を皆さんに紹介するのは心苦しいのですが,都会に住む読者には上空が開けた場所を探すことさえ困難ということもあると思います.あくまでも動作確認ということでお許し下さい.
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u-centerを起動する
それでは受信してみましょう.パソコンでu-cennterを起動してください.次のような画面が表示されます.
それでは操作していきましょう.
●受信機をu-centerに接続する
受信機を接続するには,接続されたCOMを選択します.メニューよりReceiver>Portを選択し,接続したCOM番号を選択してください.下のボタンをクリックしても同じです.
COM番号が複数ある場合,受信機がどのCOMにつながっているか,一つずつつないでみるのも良いですが,どのCOM番号に受信機がつながっているかは,デバイスマネージャーの「ポート(COM と LPT)」の中の「u-blox GNSS Receiver (COM**)」の**のところでわかります.もし,この項目が無い場合,受信機のUSBを抜き差ししてください.また,Windows10をお使いの読者は,後述する補足「Windows10でポートに受信機が現れない場合の対処方法」をご覧ください.
(補足1)Windows10でポートに受信機が現れない場合の対処方法
Windows10をお使いの読者は,受信機を接続したCOMが見つからないことがあります.これは受信機が他の種類のデバイスとして認識されることが原因です.2018年1月号のp.81のコラムに解決方法がありますので参考にして下さい(デバイスマネージャーにて「センサー」の中にあるu-blox GNSS Location Sensorを右クリックしてドライバーの更新を選んで下さい.下部の「コンピューター上の利用可能なドライバーの一覧から選択します」をクリックして,「USB シリアル デバイス」を選択します.そうすると「ポート(COM と LPT)」の中に「u-blox Virtual COM Port」が現れます.これで解決です).
(補足2)u-centerで設定変更が反映されないときの対処方法
以後のu-centerの操作において,設定変更が反映されない,プルダウンメニューで項目が選べないことがあります.このときはUSBの抜き差しを数回して,再度操作して下さい.何度か繰り返すことで復旧することがあります.それでも復旧しない場合は,後述の「受信機の設定を初期状態に戻す」の操作を数回繰り返して下さい.その後,u-centerの終了,再立ち上げをすることで,この問題は解決することが多いです.
接続されるとボタンが緑に変わります.
受信機に接続されているかどうかは,ウィンドウ右下のステータス表示を見るとわかります.
左から2番目のCOM17の左側のコネクトを表すアイコンが緑に点滅していれば接続できています.このアイコンに変化がない場合,受信機に接続できていません.受信機の接続されたCOM番号を確認してください.
以後,まずは赤文字だけを見て設定を進めましょう.確認のみの項は飛ばしても大丈夫です.設定項目はそれほど多くはありません.それでは開始しましょう!
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受信機の設定を初期状態に戻す
これからの操作は,受信機の設定変更です.既に設定変更をしている読者は,説明通りにならない可能性があります.そこで受信機の設定を初期状態に戻します.
メニューより,View>Configuration Viewを選択して下さい.するとConfigurationウィンドウが立ち上がります.
右側のリストからCFGを選択して下さい.次に右側のチェックボックスをRevert to default Configurationを選択,さらにDvicesの4つの不揮発メモリ全てを選択した上でsendして下さい.これで設定が初期状態に戻りました.
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受信状況の表示しよう
受信状況を表示しましょう.以下の表示を選択します.
1)Viewメニュー>Docking Windows>Satellite Position
2)Viewメニュー>Docking Windows>Satellite Level
3)Viewメニュー>Docking Windows>Satellite Level History
4)Viewメニュー>Docking Windows>Data
各View
のウィンドウの大きさは調整してください.
このように受信状況が表示されました.
(1)
Satellite Position:現在地から見た衛星の位置(仰角と方位角)をプロット
(2)
Satellite Level:各衛星の受信感度C/N0を表示
(3)
Satellite Level History:各衛星の受信感度の推移を表示
(4)Data:緯度,経度,楕円体高,測位フラグなどを表示.
なお,測位フラグは,3D(単独測位), 3D/DGNSS(ディファレンシャル測位), 3D/DGNSS/FLOAT(RTK測位(FLOAT)), 3D/DGNSS/FIXED(RTK測位(FIX))を表します.
Satellite Level History や Satellite Position でわかりますが,受信機の出荷状態は,GPS+GLONASS受信となっています.M8Pを使ったRTKではGPS+BeiDouの組合せが短時間にFix解が得られることから,u-center でGPS+BeiDouに切り替えます.
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受信衛星を切り替える
GPS+GLONASS受信から,GPS+BeiDou受信へ切り替えます.
メニューより,View>Configuration Viewを選択して下さい.するとConfigurationウィンドウが立ち上がります.
左側リストから,GNSSを選択してください.次に右側のGLONASSのEnableのチェックを外し,BeiDouのEnablelのチェックを入れてください.QZSSのチェックは入っていても入っていなくても,現在のところ,まだ受信機モジュール内部のRTK測位計算には対応していませんが,入れておきましょう.
最後にsendしてください.
次にこの設定が受信機が再起動しても残るように受信機モジュールに書き込みます.
右側のリストからCFGを選択して下さい.次に右側のチェックボックスをSave Current Configurationを選択,さらにDvicesの4つの不揮発メモリ全てを選択した上でsendして下さい(設定変更の最初に初期状態に戻すため,Revert to default Configurationを選びましたが,このままでsendボタンを押すと初期状態に戻ってしまいます.注意して下さい).これで設定が保存されました.(この設定変更を保存するための操作は,今後,頻繁に使います)
u-centerの画面を確認して下さい.GLONASSからBeiDouに切り替わり受信が開始されているでしょうか.
BeiDouの受信が開始されません.困りました.これには原因があります.
現在,BeiDouの受信情報は,ユーブロックスM8ではNMEA形式ではサポートされていません.そのため,UBX形式のNAV-SVINFOというデータが出力されていないと受信が取得できず表示できません.そこで,この情報を出力します.
右側リストのMSGを選択して下さい.次に左側のMessageのプルダウンリストからNAV-SVINFOを選択の上,USBにチェックを入れて下さい.最後にSendして下さい.そして受信機モジュールの不揮発メモリに保存するため,前述のようにCFGにて保存操作をして下さい.いかがでしょうか.BeiDouの表示が始まったと思います.
受信機の電源を切っても大丈夫なはずです.一度,USBを抜き差しして,GNSSが変更されずGLONASSに戻っていないか確認しましょう.GLONASSが受信された場合は変更が反映されていません.
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単独測位の見てみよう!
(追加予定)
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RTKの設定をしよう!
それではRTKの設定を開始します.単独測位では測位結果の暴れが数mであることが確認できたと思います.これがRTKではFixすると数cmになります.ただし,読者の居住地から10km以内にオープン基準局がある場合に限られます.それ以上ですとFix解が得られません.FLOAT解の場合,数mから数十cmで,Fix解に移行しようと測位結果がさまようように歩き回ります.その様子も確認しましょう.
それではu-centerにより以下の操作を続けましょう.
メニューより,View>Configuration Viewを選択してConfigurationウィンドウを立ち上げます.
(1)DGNSSの設定(確認のみ)
右側リストのDGNSSを選択して下さい.次に左側のDifferential Modeのプルダウンリストが,3-RTK fixed ambiguities are fixed whenever possible に選択されていることを確認して下さい.もし違う場合は変更後にSendして下さい.
なお,この設定は,Fix解を求める過程で整数値バイアス(衛星-受信機アンテナ間の波数)を求めるためです.基準局からの距離(基線長といいます)が10km以内の場合は,この設定として下さい.それ以上の距離の場合はFix解が得られたとしても波数を間違えるミスFixの可能性があります.また,Fix解を求める過程で測位結果の値が飛ぶ現象が見られます.この飛びを避けたい場合は,以下の2-RTK floatを選択して下さい.これを選択するとFloatのままでFixしなくなりますが,Fixする際の測位値の飛びやミスFixを避けることができます.
今回は動作確認ですので,ミスFixを覚悟して 3-RTK fix を選択しましょう.
(2)Portの設定(確認のみ)
右側リストのPRTを選択して下さい.次に左側のTarget のプルダウンリストで3-USBを選択して下さい.Protocol in, Protocol out がともに 0+1+5 UBX+NMEA+RTCM3に選択されていることを確認して下さい.もし違う場合は変更後にSendして下さい.
この設定は,各ポートにおいて,入出力するプロトコルを指定します.例えば,Protocol in を1+5 UBX+RTCM3に変更すれば,USBから受信機に入力されるNMEAは無視されます.また,target で UART1を選択すれば,UART1の入出力のプロトコルを制限できます.
(3)MSGの設定(確認のみ)
右側リストのMSGを選択して下さい.次に左側のMessageのプルダウンリストから,F0-00 NMEA GxGGAを選択して下さい.USBにチェックが入っていることを確認して下さい.もし入っていない場合はチェックを入れてSendして下さい.なお,他のインターフェースI2CやUART1,SPIへの出力もここで設定します.不要ですが特にチェックを外す必要もありません.
初期状態では次のデータが出力されています.
NMEA GxGGA
NMEA GxGLL
NMEA GxGSA
NMEA GxGSV
NMEA GxRMC
NMEA GxVTG
このうち,GxGGA以外は不要です.GxGSVは,前述の操作(BeiDou受信への切替え) において,SVINFO を新たに加えていますが,このデータで兼ねることができます.SVINFOのデータがGxGSVよりも,詳細なデータを送っており,より詳しい受信状況を表示できます.GxGLL,GxGSA,GxGSV,GxRMC,GxVTGは,USBからの出力設定でカットしても構いません(どちらでもよいです).
(補足)
GxGGAの x は何を表しているのでしょうか.最初の2文字はTalker IDと呼ばれるものです.GPSだけの時代はGPGGAというように Talker ID は GP でした.その後,GL(GLONASS),GN(複合衛星システム),GB(BeiDou),GA(Galileo)などが定義されています.GPS時代の受信機を更新する際,Talker ID がGPでないと受け取れないシステムが下流側にある場合,この変更は問題となります.u-centerやRTKLIBでは,このTalker IDを選択できるようになっています.
(4)TMODE3の設定(確認のみ)
右側リストのTMODE3を選択して下さい.次に左側のModeのプルダウンリストから,0-Disabled が選択されていることを確認して下さい.もし違う場合は選択してSendして下さい.
(以後,この節では基準局を自前で設置するための説明です.今回の動作確認には必要な操作はありません)
この設定は,基準局の設定(2018年1月号でMy基準局と呼んでいるものが関連)をする場合に使います.1-Survey in を選択すると,Survey in の入力が可能となります.このモードは,単独測位の測位結果を平均化して,基準局座標値に自動設定するためのものです.最低観測時間と要求測位精度を設定します.例えば最低観測時間を300秒,要求測位精度を5mと設定すると,300秒以上観測し,その測位精度が5m以下に収まった場合は基準局の座標値として自動登録します.5m以上の場合はさらに観測を続けて5m以内になるまで基準局の座標値を決定しません.要求測位精度を高く(小さく)設定すると,いつまでも決定されないことになります.単独測位の精度は5m程度です.この誤差は移動局の結果にオフセットとして表れます.次に2-Fixd Mode を選択した場合は,Fixd Position が入力できるようになります.緯度経度楕円体高で入力する場合は,Use Lat/Lon/Alt Position にチェックを入れて下さい.その際,Lat/Lonは度表示で入力します.ここには測量で得たアンテナ位置を入力してください.よくGoogle Mapから読み取った緯度,経度を入力してしまう人がいますが,Google Mapの緯度,経度は正確ではありません.そのような場合は1-Survey in を選択したほうが高精度です.入力した基準局座標値の誤差が数十mレベルの場合,受信機が判断してRTKでは測位計算せず単独測位になります.トラブルの元なので,不正確な座標値の入力だけはやめましょう.
(自前基準局の説明はここまで)
(5)NAV5の設定変更
右側リストのNAV5を選択して下さい.次に左側のDynamic Mode のプルダウンリストから,0-Portable が選択されていることを確認して下さい.自動車で使う場合は 4-AutoMotive を選択したほうがよいです(0-Portableで問題が生じるわけではありません,性能を引き出せないだけです).
次に受信する衛星の最低仰角を10[deg]から15[deg]に変更します.低い仰角の衛星からの信号は,パスが長くマルチパスも多く含んでいることからノイジーです.頑張って受信しなくても質の良い高い仰角の衛星を使うほうが無難なので仰角を上げます.さらに上げたいところですが,そうすると受信衛星数が減ってしまうのでバランスを取ってください.
最後に受信感度のしきい値を設定します.付属のアンテナの受信感度を考慮して
35[dBHz]に設定します(高性能なアンテナをご利用の場合は,衛星数を最低10個程度は受信できる値に調整して下さい.Tallysman TW2710で40〜42[dBHz]程度になります).
最後にSendして下さい.
(6)NMEAの設定変更
右側リストのNMEAを選択して下さい.次に左側の上側にあるプルダウンリストで,CFG-NMEA-DATA2 を選択して下さい.Mode Flags の High Precision Mode にチェックを入れて下さい.この設定はGxGGAの通常のフォーマット桁数では,RTKの精度を表現に不足することに対応するものです.この設定によりミリメートルの桁数まで測位結果が出力されるようになります.
最後にSendして下さい.
設定を不揮発メモリに保存するため,CFGにてsendしてください.これを忘れると電源OFFで設定が消えてしまいます.ご注意を!
(7)Ntrip Clientの設定
この設定で最後です.もう一息です.頑張りましょう.
RTKの基準局データを受信します.
パソコンをネットワークに接続して下さい.企業内などセキュリティの関係でポートが通らない場合,Ntripのデータを受信することができません.その場合は,テザリングやモバイルルータで受信して下さい.格安SIMの低速モードで十分に受信できますが,データの詰まりが頻発する質の低い回線では受信に影響があります.気をつけて下さい.
それではu-centerにより以下の操作をしましょう.
メニューより,Receiver>NTRIP Client...を選択してNTRIP client settings ウィンドウを立ち上げます.
ここにNTRIP Caster から配信される基準局情報を入力します.ここでは茨城高専でオープン基準局として登録している基準局を受信してみます.
NTRIP Caster Settings にあるAddress, Port, Username, Passwordに次の値を入力します.
- Address 52.185.144.65
- Port 2102
- Username ibaraki
- Password kousen
続いて Update source table のボタンを押して下さい.そうすると,Ntrip Mount Point に Iba-RAW と Iba-RTCM3 がでてきます.このうち,
Iba-RTCM3 を選択して下さい.最後にOKボタンをクリックして下さい.
上記の他に筑波大学,静岡大学,CQ出版の基準局が利用できます.
なお,接続先は距離の近いものをお選び下さい.
筑波大学L棟
- Address RTK2go.com
- Port 2101
- Username なし
- Password なし
- NTRIP Mount Point TSUKUBA-RTCM3
静岡大学浜松キャンパス
- Address hamamatsu-gnss.org
- Port 2101
- Username guest
- Password guest
- NTRIP Mount Point SU_RTCM3
CQ出版(東京都文京区)
- Address 160.16.134.72
- Port 80 (2101も対応)
- Username guest
- Password guest
- NTRIP Mount Point CQ-F9P (CQ-RTCM3は機材の都合で運用を停止しました)
茨城高専の基準局の設置状況です.アンテナはリットー社TW3400GPを使っています.
なお,2018年1月号第14話の「善意の基準局」には,既に幾つかのオープン基準局が登録されています.
http://rtk.silentsystem.jp/
この中で,データ形式がRTCM3で,配信方法がNtripのものが利用できます.2017年12月17日現在,茨城高専のIba-RTCM3と静岡大学浜松キャンパスのものの2つが登録されています(今後,どんどん増えると思います).
静岡大学浜松キャンパスのものは,静岡大学の木谷先生が整備した基準局です.基準局に関する情報も以下のホームページで紹介されています.すばらしい内容のホームページでほれぼれしてしまいます.是非一度のぞいてください.
https://hamamatsu-gnss.org
話を戻しましょう.Ntrip Casterからの基準局データの受信が始まるとRTKが始まります.
Dataウィンドウを見ると Fix Mode が 3D から 3D/DGNSS/FLOAT に変化して,Fix解を目指して解の収束が始まります.基準局からの距離が10km程度で短い場合,正確に波数が決定されて 3D/DGNSS/Fixd に変化します.このときは精度数cmになっています.
●
MAPにプロットしよう
その状況をMap Viewで確認しましょう.
Viewメニュー>Docking Windows>Map Viewでデジタル地図上に測位結果がプロットされる画面が表示されます.大きさを調整して下さい.緑の点が測位結果の履歴で黄色の点が現在の結果です.ちょっと見づらいですね(プロットの形をクロス(×)に変更できます.右クリックでメニューから探して下さい).単独測位の時の測位結果もプロットされているので比較ができると思います.
窓際では精度がでません.是非開けた場所でお試し下さい.正しくFixしたときの精度はすばらしいものです.地図と合わないと感じる読者も多いと思います.この地図はディファレンシャル法の精度レベルで作成したもので精度は高くても50cm〜1m程度のものです.ずっとRTKが精度が高いのです.基準局の座標値がしっかり測量されたものであれば,RTKの測位結果の精度が悪いのではなく,地図の精度が悪いことになります.よく,地図と合わないから精度が悪いのではないかと相談がありますが,勘違いしやすいので注意して下さい.逆に地図とぴったり合うから正確という考えも危険です.
●
RTKにおけるデータの流れ
今回のRTKは,どんなデータの流れで,どこで測位計算をしているのでしょうか.次の図にその概要を示します.
皆さんは,Windows上のu-centerからNtrip Casterへアクセスし,そこにつながる基準局の一つ(今回は茨城高専の基準局)の基準局データ(RTCM3)の配信を受けます.そのデータを受信機に送り,受信機内部の測位計算エンジンを使って測位計算をします.その結果をパソコンに戻して(GxGGA),u-centerで表示しています.
次にRTCM3の中身です.RTCM3にはMessage Typeの後に4桁の数字でその種類を表します.2018年1月号第13話の表1(p.77)に説明があります.M8PでGPS+BeiDouの場合,RTCM3には次の信号が含まれます.
- RTCM3 Type 1005 基準局座標値
- RTCM3 Type 1077 GPSの擬似距離,搬送波位相,ドップラー.信号強度
- RTCM3 Type 1127 BeiDouの擬似距離,搬送波位相,ドップラー.信号強度
GPS(L1)とBeiDou(B1)で3,000bps弱となります.
以上,第2回は膨大な量となってしまいました.ただ
赤文字だけなら操作量は程々です.もし,この設定通りにやっても動かないということがありましたら編集部まで情報を下さい.必要に応じて補足情報を加えていきます.
次回はRTKLIBによる測位計算について紹介します.RTKLIBは,高須先生が作り上げたRTKオープンソースプログラムパッケージで,RTKを世界に広めた立役者です.皆さんもその虜になること間違いなしです.こうご期待.