編集部で企画したUSBオーディオ・アンプ・キット LV-1.0は,市販のオーディオ装置と同様にUSBをパソコンにつなぐだけで簡単に音楽を楽しむことができます.性 能も決 して市販品と引けをとるものではありません.
LV-1.0は,技術者のために生まれたオーディオ・アンプです.次のような楽しみ方があります.
●ハードウェアをカスタマイズできます
定番の穴あき基板 ICB-88(サンハヤト)と同サイズ(72×47mm)の基板で構成されています(USB-FPGA基板とシステム・マイコン基板は除く).LV-1.0 開発チーム が作ったD-Aコンバータ基板やボリューム基板,パワー・アンプ基板,ヘッドホン・アンプ基板が気に入らなかったり,将来高性能なICが誕生したりしたときは ,自分で基板を作って交 換してください.
●ソフトウェアを外部から書き換えることができます
システム・マイコン(ARM Cortex-M0,NXPセミコンダクターズ)とUSB2.0通信用のマイコン(FX2LP,サイプレス セミコンダクタ)のファームウェアを外部から書き換 えるこ とができます.
Windows OS標準のUSB通信ドライバは,まだ96kHz,24ビット(オーディオ・クラス1.0)にしか対応していません.MAC OSはすでに192kHz,24ビットに対応していますから, 今後, Windows OSもこのスペックに追従する可能性があります.LV-1.0は,ファームウェアを書き換えることで,そのような規格のバージョン・アップにも柔軟に対応できます.
●FPGAのハードウェアを書き換えることができます
FPGA(Spartan6)は,USBマイコン内部のメモリ(FIFO)に蓄えられたオーディオ・データを取り出して並べ替え,オーディオ・インターフェー スを介してD-Aコンバータに出力しています.[パソコン]-[ミニUSB端子]-[システム・マイコン(ARM Cortex-M3)]という経路で,内部のロジックを書き換えること ができます.専用の書き込み器は不要です.最新のデバイスで大容量のRAMを内蔵しているので,長いタップ係数が必要なアップ・サンプラなどを作り込んだりできます.
●パソコンのコントロール・アプリケーションをカスタマイズできます
コントロール・アプリケーションは,アンプのパネルに相当する外見を持ち,ボリューム・コントロールやレベルメータの表示などを行います.
コンフィグレーション機能では,ボリュームやミュート操作はもちろんメータ表示や針の振れ方に至るまで,ユーザー好みにカスタマイズできます.好みの画像データ を作成して選択 するだけで,自分好みのアンプに変身できます.
それでも不満なときは,ソース・コードを変更したり,使い慣れた開発ツールを使って,仮想COMポート経由でシステム・マイコン基板を操作する自分専用 のアプリケーションを作る ことも可能です.