現地のエレキ商売突撃レポート!
『世界のアキバから ~タイ・バンコク編~』
堀米 毅
●タイ・バンコクのど真ん中で電子部品が調達できる地域「バンモー」
私は,1年の半分近くを会社のあるタイのバンコクで過ごします.電子回路シミュレーションとデバイス・モデリングの研究所内には最新の測定機器があり,等価回路開発やデバイス・モデリングを行うために,回路実験や測定業務を数多く行います.
必要な電子部品を日本から取り寄せると時間がかかるため,バンコクで電子部品を調達することがあります.日本でいうところの電子部品関連を調達する東京・秋葉原(通称アキバ)に相当する地域がバンモー(Ban Mo)です(写真1).
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写真1 バンモー(Ban Mo)のラジオ・デパート「バンモー・プラザ」のようす
●バンコクのラジオ・デパート「バンモー・プラザ」
バンコクは渋滞がひどく,バンモーの近くまで地下鉄MRTで行くのがベターです.研究所は図1のスクンビットにあるので,地下鉄の最終駅であるフワランポーンに行き,そこからタクシーに乗りました.
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図1 バンモーには地下鉄MRTで近くまで行ってチャイナ・タウンを抜ける
チャイナ・タウンを通過して,写真2のバンモーの看板付近で降ります.そこまでくると,修理屋さんの露天が見えてきます(写真3).電子部品や回路基板,ケーブルなどは露天でも購入可能ですが(写真4),露天を抜けたところにある一つのビルに電子部品屋さんが集中しています.そこは冷房も完備されており快適です.名前は「バンモー・プラザ」です(写真5).
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写真2 バンコクの秋葉原「バンモー(Ban Mo)」
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写真3 修理屋さんの露天
ブラウン管テレビの基板を修理している
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写真4 ケーブル屋さん
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写真5 タイ人に「バンモー・プラザは?」と聞くと皆が指を指して教えてくれる.秋葉原でいうところのラジオ・デパート
バンモー・プラザの周りは障害物だらけでおいそれと写真など撮れない
●1階は生活に密着した太陽電池/LED/オーディオ
バンモー・プラザは2階建てで,面積は広いです.1階には太陽電池関連,オーディオ関連,LED関連が多いです.太陽電池は小型の電子工作用から住宅用まで販売されています(写真6).そこで必要なパネル,回路基板,バッテリを購入し,自分で構築するDIY(Do It Yourself)方式です.
LEDは挿入型から面実装,テープ型,マイコン制御のイルミネーションまでいろいろそろっています(写真7,写真8).LEDを制御する基板も既製品からキット製品まであります.そしてオーディオ関連は,真空管アンプは若干で,半導体アンプがほとんどです.出力も小さいものからコンサート会場で使用できるものまで販売していました.
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写真6 電子工作向けの小型太陽電池パネル
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写真7 LEDとLED照明用のインバータ
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写真8 表示器など
●2階はまさに秋葉原!部品/半導体/マイコンなどがめじろ押し
2階の方が自作派には楽しいかもしれません.まさに秋葉原です.半導体,マイコン,IC,パワー・デバイス,受動部品がそろっています(写真9).
一番の特徴は,キット製品の数が豊富であるということ(写真10).タイの技術研究員の半分が女性ですが,電子工作が趣味という人も多いです.また,キット基板のみの販売もありますし,自分で基板製作ができる銅板,化学薬品も販売しています(写真11).
また,ロボット製作も盛んなようすで,DCモータやサーボモータ,それらを制御するマイコン・ボード,機構部品も販売しています.ギアやゴム・ベルトまであるので,秋葉原よりも品ぞろえが多いかもしれません.エアコンの修理用だと思いますが,IGBTの品数も豊富でした.
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写真9 表面実装専門のIC/受動部品屋さん
タイ人はシャイなので店員さんの写真を撮ろうとすると隠れてしまった…
写真10 バンモー・プラザ一番の特徴はキットが多いこと
回路図と配線図(アートワーク)を持っていくと100バーツ(約300円)ほどで基板を起こしてくれるので試作にうってつけ
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(a) オーディオ・アンプやモータ,LEDの基板と部品キットが所狭しと並ぶ.自作キットも頼み込めば置いてくれるかも
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(b) 基板に取り付ける部品は2階で手に入る.30バーツは約90円(2010年8月時点)
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写真11 銅板から基板を作るための薬品
バンコクに行く機会があれば,ぜひバンモー・プラザをのぞいて見てください.面白いキットに出会うかもしれません.
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写真12 おまけ:バンモー周辺には護身用の拳銃を売っている店もあるので要注意!