一般向けのICのデザイン・コンテストは前例がないと思われます.そのため応募を考えている方々も適切な題材が分からず戸惑っている方々がいるかもしれません.
本誌9月号にて紹介した応用回路例のほかにもいくつかの回路例を追加で示します.これらが発想のヒントとなれば幸いです.もちろんこれらに類しない独創的な回路アイデアの応募も大歓迎です.
応募例1…1.5ビットA-Dコンバータ
図1に示すのは,分解能1.5ビットのA-Dコンバータ回路です.
フォト・トランジスタの光量検出などへの応用が考えられます.
2ビットでなく,1.5ビットなのは素子数制約を考えての仕様です.抵抗ストリング,コンパレータ,論理回路から成ります.抵抗ストリングで参照電圧を作り出し,3個のコンパレータで入力との比較を行い,結果をラッチ&エンコードして2ビットのディジタル・データで出力します.
そのほかにも1ビットA-Dコンバータを2~3個,集積してライン・トレーサに使う回路も考えられます.
図1 入力電圧により00, 01, 10のコードを出力する1.5ビットA-Dコンバータ
応募例2…周波数可変の発振回路
図2に示すのは,可変周波数発振回路です.
電圧で音階や点滅周期を変える用途が考えられます.本例ではシュミット・トリガと可変出力電流源を使って実現しています.周波数は電流源の電流と外付けコンデンサの容量で決まるため,制御電圧により発振周波数を変化させることが可能です.
図2 制御電圧によって発振周波数が変わる可変周波数発振回路
応募例3…早押し検出回路
図3に示すのは早押し検出回路です.
リセット後,早く入力された側の出力が“H”になります.早押しクイズなどの簡単なゲームにも応用可能です.
図3 二つのセット付きラッチから構成される早押し検出回路
<森本 浩之>