一昔前は,数百万円もする電子回路開発用のソフトウェアを個人で使うことは
夢のまた夢でした.ところがいつのまにか,オープンソースに代表される機能/期間
ともに制限のほとんどないフリーのアプリケーションが増えています.趣味だけでなく,
実際の製品設計にまで幅広く利用されるようになっています.
本誌では,アナログ回路,オーディオ回路,プリント基板などの製作から,
雑音/熱を解析する本格的なものまで,エレキ屋必見のアプリを紹介します.
付録DVD-ROMには,プロ御用達のアプリを30個収録したほか,設計サンプル・
データ一式,日本語マニュアルなども収録しました.
スマートなものづくりには,今やアプリは欠かせません.好みのアプリを選び,
自宅のパソコンを開発マシンに変身させましょう.
本誌2015年3月号の特集目次はこちらをクリック
■本誌で採りあげたアプリケーション・ソフトウェア一覧
一覧表(PDFファイル)
※本誌2015年3月号で紹介できなかった製作アプリや設計サンプル・データについては
近号などで紹介する予定です.
注▲トラ技3月号付録DVD-ROM内に収録されている「S-NAP PCB Suite」,「S-NAP MicroWave Suite」,「GreenExpress」,「MEMSspice」はトラ技特別版です.Webサイトなどでは公開されていません.
特集イメージ・ピックアップ
●アナログ回路の製作(第1章)
右のLEDは正常に点灯しているが,左のLEDは電流制限抵抗がないので,電流が流れすぎて燃えている
●スピーカの製作(第2章)
Webで動作するバスレフ型エンクロージャ設計プログラムとスピーカ測定プログラムMySpeakerを使い製作した木製プランタ・スピーカ
●プリント基板の製作(第3章)
フリーのプリント基板CAD KiCadの入力をアシストするためのコントローラ(ガーバ・データやファームウェアなど設計データを一式付録DVD-ROMに収録)
●特性データの数値化やレポート作成(第4章コラム)
グラフ作成ソフトのIGOR Proで測定器やシミュレータの生データを読み込んだ後,ノイズの波形とスペクトラムの時間変化を解析.ON/OFFの切り換わりのタイミングでノイズ・レベルが高くなっているようすを確認できる
●プリント基板の電源配線のSPICEモデル自動抽出(第7章)
プリント基板の電源/グラウンドの形状を入力後,電子回路シミュレータ用のSPICEモデルを自動的に抽出する.SUBCKTモデルはLTspiceなどに組み込むことができる
●プリント基板の熱解析(Appendix2)
スイッチング電源基板の表面温度分布を有限要素解析ソフトのFemtetで解析する.MOSFET周辺の温度分布を確認できる
●プリント基板のノイズ解析(Appendix3)
電磁界シミュレータS-NAP PCB Suiteで,DC-DCコンバータ基板のガーバ・データを読み込みモデル化した後のノイズ解析する.電流密度分布で放射ノイズの出元を調べることができる.
▲S-NAP PCB Suiteは,プリント基板CADのガーバ・データを読み込み,RLCメータでインダクタンスなども測定できる.測定した寄生成分をLTspiceなどに組み込むことができる.ネットアナ,スペアナ機能もある.活用例は近号で解説予定
●モータ・インバータの製作(第8章)
パワー・エレクトロニクス系シミュレータPSIMで,モータのインバータ駆動回路をシミュレーション.
Runtime graph機能を使うと,実行途中でもシミュレーション結果を確認できる.モータやインバータの
高電圧系と制御回路の低電圧系の配線はシミュレータ内で色分けされている
●モータの製作(第8章コラム)
フリーのモータ設計ツールJMAG-Express Pubicで設計仕様データを入力後,作成したモータと基本特性確認できる
●トラ技3月号誌面で紹介できなかった付録DVD-ROM内のアプリEDISONのLED点灯例
電子回路シミュレータEDISONは,回路図と3D実体配線図が連動してシミュレーションされる
▲PIC16F88を使って四つのLEDを順次点灯する
シミュレーションをstartすると,回路図と3Dブレッドボードの両方でLED点灯を確認できる
▲RC回路を測定する
3D電圧計でコンデンサの両端電圧を確認できる.3D実体配線図の信号発生器を数字をクリックすると,振幅/周波数/位相も変更できる