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トランジスタ技術

【PR】Mini-Circuits社のLTCCコンポーネント設計技術
①ミリ波LTCC開発とシミュレーション

【PR】Mini-Circuits社のLTCCコンポーネント設計技術 <br>①ミリ波LTCC開発とシミュレーション

 セラミックスは強度や耐熱性に優れ,形状や電気的特性の自由度が高いことから,電子部品,基板に広く使われています.その中でも,高周波特性の良い低温焼成セラミックスを基材とし,銀または銅による低抵抗の金属配線を多層化して同時に焼成するLTCC(低温同時焼成セラミックス)は,小型で高品質の高周波コンポーネントを量産可能な技術として進化を続けています.

 ただし,セラミックスでは微細で複雑な構造や結晶の物性が,焼成工程によってでき上ります.製品の特性を精密に制御するためには,高度なシミュレーション技術を用いて,適切な設計を行うことが不可欠です.そのため,一般的なLTCC製品は10GHz以下にとどまっており,24GHz帯などの準ミリ波,30GHz以上のミリ波での製品化は難しいと考えられていました.

 RF,マイクロ波,ミリ波コンポーネントの世界的メーカとして知られる米国Mini-Circuits社では,早くからこのLTCC技術に注目し,フィルタ,パワースプリッタ,カプラ,トランス/バランなどの製品を数多く設計・製造・販売してきました.シミュレーションとモデリングについても長い経験をもち,設計技術を進化させてきました.現在では,さまざまな分野に用途が広がっている50GHzまでの準ミリ波~ミリ波LTCC製品を次々に市場に投入しています.

 ここでは,Mini-Circuits社のミリ波LTCCコンポーネントについて,製品化のポイントであるシミュレーション技術を中心に紹介します.

 

急速に需要が広がるミリ波コンポーネント

エレクトロニクスの急速な進化,とりわけ半導体製品や高周波コンポーネントの性能向上,小型・高密度化は,情報通信技術の発展を支える両輪です.特に高周波の分野では,従来あまり多く利用されていなかったより高い周波数にアプリケーションがシフトするとともに,新規の大きな需要が生み出されています.

たとえばモバイル通信では,3Gでは2GHz程度まで,4Gでは5GHz程度までだった無線バンドが,5Gの登場によって30GHz超のミリ波帯まで一気に拡大されています.それに対応して,コンポーネント市場,計測器市場,ツール市場など幅広い市場でもミリ波への急速な対応が進んでいます.アプリケーションも通信だけでなく,センシングなどの計測,レーダなどの宇宙航空をはじめ,産業のあらゆる分野で高周波化が急速に進んでいると言えるでしょう.

高周波の量産アプリケーションでは,良好な特性で小型・高密度化できる積層セラミックス技術が広く採用されます.その中でも,低温焼成で良好な特性が得られる基材と,低損失の金属配線を組み合わせたLTCC(低温焼成セラミックス)は,数GHzまでの量産コンポーネントで多く用いられています.これをミリ波などさらに高い周波数に適用することは,業界での大きな課題となっています.

 

ミリ波LTCC開発とシミュレーション技術

通信,計測,航空宇宙,産業など幅広い業界で,高性能とリーズナブルなコストを両立するミリ波LTCCコンポーネントが求められています.その設計には,LTCCの特性を高度に制御する設計技術と,コストや実装を考慮した高性能のパッケージング技術が必要です.特に,材料の準備から焼成までの多ステップの工程で量産されるLTCCコンポーネントは,製造時の調整やカットアンドトライによる最適化が難しく,設計段階における高精度のシミュレーションがきわめて重要です.

最近では,高速・大規模なコンピュータを駆使するソフトウェア技術が急速に進化し,フィルタ合成などのコンポーネント設計技術,シミュレーションなどの解析技術の完成度はきわめて高くなっています.しかし,LTCCのような微細な3次元コンポーネント,ミリ波のようなきわめて高い周波数での解析を高精度にかつ効率良く行うには,十分な経験とノウハウが重要になっています.

Mini-Circuits社では,長年にわたるLTCCコンポーネントの設計,製造の経験を通じて,高度なシミュレーションによるLTCC設計技術と,ミリ波における表面実装パッケージ技術を進化させてきました.

現在ではFEM(有限要素法)とMoM(モーメント法)による2種類の評価を組み合わせた,電磁界,構造,熱のマルチフィジックス解析,実際に使用する基材と導電材料の評価に基づく適切なモデリングによって,最大50GHzのLTCCコンポーネントを一回の設計で開発することが可能になりました.

また55GHzまでの優れた電気的性能をもつ表面実装パッケージを製品に使用することが可能になっています.このパッケージ技術は,LTCCと有機パッケージを組み合わせることにより,フットパターンの小型化と優れた高周波性能を両立しており,コスト面でも優れています.

図1 FEM(有限要素法)熱/機械解析メッシュ

 

図2 有機パッケージ

 

Mini-Circuits社のシミュレーションとモデリング

Mini-Circuits社のマルチフィジックス解析技術は,電磁界,構造,熱シミュレータを結合し,互いに関与しながらシミュレーションすることによって,実際の物理現象を適切に解析できます.

解析ではFEM(有限要素法)とMoM(モーメント法)の2種類の手法が可能で,それぞれの長所,短所を効率的に使い分けることができます.

FEMは,LTCCのセラミックス基材構造をメッシュ化して,有限長の3次元モデルとして解析を行います.基材によるカップリング,寄生効果などについても解析可能です.LTCCを通過していく信号の,3次元での非線形動作を高精度にシミュレーションできることが大きな利点です.

一方,シミュレーションに時間がかかることが主な難点です.

MoMは,LTCCの導体構造をメッシュ化して解析します.シミュレーションの演算が高速にできることは大きな利点です.ただし,基材は空間内において無限長に伸びていると仮定し, 2次元のモデルを用いて導体薄膜の特性をシミュレーションします.そのため,有限長の3次元構造である実際のコンポーネントとは,やや異なったシミュレーション結果になります.

実際のシミュレーションでは,FEMとMoMの特徴を理解して,適切に使い分け,この二つを組み合わせて解析することによって,必要な精度をもつシミュレーションを短時間で効率良く実現できます.

FEMとMoMをどのように使い分けていくかは,実際にさまざまな解析を行った結果を,繰り返し評価して決める必要があります.Mini-Circuits社では,解析や設計における長い実績から得たノウハウと,数多くの高周波コンポーネントを量産してきた経験から,材料の構造がコンポーネントの実際の特性に及ぼす影響を深く理解しています.

さらに,Mini-Circuits社では実際の材料構造を反映した高度なモデリング技術によって,高い精度で実測値と一致するシミュレーションを実現しています.

LTCCで用いられる基材材料と導電材料の両方について,特性をミリ波領域まで広範囲に評価し,数多くのモデルを作り上げてきました.Mini-Circuits社では,このような高度なシミュレーション技術を製品設計に適用することによって,精密な特性を持つフィルタを短期間に,低コストで設計することを可能にしています.

 

★Mini-Circuits社のLTCCコンポーネント設計技術 ②シミュレーションと実測値の例の記事を読む

 

Mini-Circuits Japan株式会社について

Mini-Circuits社が日本法人として,2019年にMini-Circuits Japan株式会社を横浜市内に設立し,日本,韓国と台湾の営業拠点として活動しています.

 

日本の公式代理店

ミニサーキットヨコハマ株式会社
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