編集部
創立60周年!エンジニアと共にさらに躍進するマウザー
2024年9月26日,マウザー社のシニア・バイスプレジデント ケヴィン・ヘス氏およびバイス・プレジデント ダフネ・ティアン氏が来日し,世界最大級の電子部品ディストリビュータとしてのグローバル展開施策と近況について語った(写真1).登壇したケヴィン・ヘス氏は入社して35年.主にマーケティング戦略,広告およびプロモーション活動を推進している.
●マウザー社の歩み
1964年,サンディエゴ郊外で1人の高校教師が生徒たちのために電子部品などの卸売りを副業としたのが始まり.1986年には全世界への物流を予見して,テキサス州の空港近郊に物流機能を拡大した新拠点を設立した.2007年には世界3大投資家として知られるウォーレン・バフェット氏が所有するバークシャー・ハサウェイのグループ企業となった.
● 東京ドーム×2の倉庫から520万件/年を出荷
マウザー社は現在,1, 200以上の大手メーカと提携し,100万点以上(約2,880億円分)の在庫を持っていて,受注からわずか15分で注文を処理し,年間520万件以上で,96億件以上の商品を出荷している.売上を支える倉庫スタッフは約1,500名,1週間6日制24時 間勤務で受注をこなしている.倉庫の面積は東京ドーム約2倍の93,000m²である(写真2).倉庫内でのピッキングは,139台の縦型自動倉庫モジュールと(将来300台に拡張予定),7基の自動保管・検索システムで行っている,荷受けや梱包は,投入口340個の全長13kmと世界最長級のコンベアが毎時6,700件を処理する.梱包も自動化され,毎分111件の注文を11基のレーンで処理している.
● 設計・開発フェーズに手厚いサービスを展開
マウザーは,特に設計フェーズに焦点を当てたビジネス・モデルを推進している.設計フェーズでの部品選定で採用されるために新製品の充実,在庫の品揃え,サポートなどの対応に力を注ぐ.設計支援ツールや便利な検索ツール,見積作成・購入ツール,購買促進ツールの充実など,ツールの充実を行っている.さらにユーザの地域性に対応するため世界28カ所に拠点を構え,テクニカル・サポートや高品質なマーケティング施策を行いながら,サプライヤやユーザとの密接なネットワークを築いている.
● 日本でのシェアは2022年から1位
最近の販売実績は,2022年は半導体のサプライ・チェーン問題で打撃を被ったが,現在は回復傾向にあり,2025年度には1桁台ながら成長を見込んでいる(図1).
リビュータでは半導体とコネクタでは1位,受動部品では2位である(図2).
2024年第1四半期現在のシェアは41%でアジア/ ヨーロッパでは1位.日本でのシェアは2022年から1位であり,マウザー全体における日本のシェアは約5%.
● 注目するのは産業用オートメーション分野
マウザーはこれから成長分野を産業用オートメーションと考え,トップ企業のシーメンス,ABB,シュナイダー,ロックウエル・オートメーション,ハネウエル,横河電機,オムロン,三菱電機などの品揃えを強化し,まずは北米向けに展開を始める.
ライター:武田洋一