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ホーム > 記事サポート > 2011年 > 世界のエレクトロニクス > 裏・エチオピア通信 > 第2回 『世界遺産ラリベラ紀行 その2』

世界遺産ラリベラ紀行 その2

 今回は交通の要所・ウォルディアから世界遺産・ラリベラまでの話をします.旅程は200km程ですが,そこはアフリカ大陸を縦断する有名な大地の裂け目「アフリカ大地溝帯」なので,向かいの丘が見えていても登ったり下ったりしており,たやすく行くことはできません(写真2-1).



写真2-1 山あり谷ありのアフリカ大地溝帯


バスの出発までは数時間待ちも当たり前
 エチオピアでは一般に,バスの出発の時刻は決まっておらず,客が一杯になったら走りだします.エコですね.日本も少し見習うところがあるのではと思いますが…便利はエコに反するのかも知れません.
 というわけで,朝一のバスは乗客がすぐ一杯になるのでほぼ定刻に出発しますが,2便は何時になるか分かりません.客が集まらなければ最悪出発はキャンセルされることもあります.


 その朝は出遅れてしまいバス・ターミナルへの到着が6時半くらいになってしまいました(写真2-2).始発バスは行ってしまったようですが,聞いてみると「アレだ」「もう出た」と何とも要領を得ません.乗客もかなりいるので,いずれにしても今待っていると思われるバスに乗るしかありません.



写真2-2 早朝のバス・ターミナル
早朝のバス・ターミナル・高地なのでアフリカとは思えないほど寒い.


 何時出発するか分からないので小屋でコーヒを飲んだり旅人の持ち物を見たり,周囲を見て歩いているとそれなりに楽しく退屈はしません.
 ターミナルを見て歩くと,なっ…なんと「鮮やかな漢字の看板」を背負ったトヨタのハイエースがそのままズバリ,バスに変身しているではありませんか(写真2-3).エチオピアを走る自動車の多くは中古日本車を左ハンドルに改造していますが,塗装し直されているので漢字はあまり見かけません.



写真2-3 たくさんの荷物を積んだマイクロバス
現地でたまに漢字の看板を背負って走っている車を見かけることがありますが,使い込まれていてぼろぼろで鮮明ではありません.しかしこの「渡辺精工」バスは完ぺき.


 運転手が誇らしげに話しかけてきました.
運転手「New carだ.おまえは何でおれの車を撮るんだ?」
私「これは日本から来た車で,日本語で書いてあるんだ.」
運転手「エエーーー! 中国の車じゃないのか?」
私「あのバスもあの自動車もこれも,ガリ(馬車)以外はみんな日本で作られたんだ.それも10年も20年も昔にネ」
 運転手の大きな目がさらに丸くなりました.


 「渡辺精工」は屋根にたくさんの荷物を載せて,今日も早くから元気良く出発していきました(写真2-4).



写真2-4 出発する渡辺精工バスに敬礼
日本の自動車は働き者で老いてもなお世界各地で活躍しています.素晴らしい.日本製シニアボランティアか? しかし,よく屋根の荷物が落ちないものです…



写真2-5 バハルダールへ行笑顔が印象的な若者
広場を歩くと陽気なイギリス人がいた.彼らは山越えでバハルダールまで行くという.さよなら…


●みんな貧しいはずなのに笑顔が美しい!
 私が運転手の後ろの席を陣取って出発を待つとほぼ満席となり,9時ごろようやく出発しました(写真2-6).いよいよ出発!一路ラリベラを目指すのかと思いきや,まずスタンドに寄って給油です.やれやれ…



写真2-6 途中工事中の道
先の村が見える


 停車した村々からはどんどん人が乗ってくるので,車内は東京のJR山手線並みの混雑です.私の席と運転手の背もたれの間にも人が相対で座る始末です.
 バスが村々に到着すると駅弁よろしくいろいろな名物を売りに来ます.香ばしい「コロ(麦や豆を焙煎したもの)」や20cm程に切られたサトウキビがうまい.

 さてやっと車内も落ち着き,バスは目的地を目指します.しかし,なぜかエチオピア人は窓を開けてフレッシュな空気を入れようとしません.外から入る風が嫌いなこともあるみたいですが,どうも宗教的にも良くないと思われているようです.
 車内はガビ(まとっている布)と既婚女性が頭髪をまとめるために付ける羊の油ケベ,人の息などで,なかなかのにおいです(写真2-7).しかしそこは私も現地人に同化しているので,すぐにきゅう覚が順応します.



写真2-7 車内が混雑しているのでおじさんが窓を開けてくれた
妙なことに,限られた不自由な空間を共有して何時間かたつと,乗客同士が打ち解けていろいろな話が始まります.


 私の隣にはイケメンの若者がエンジン・ルームの上に進行方向と逆に座っています.若者は幸運にも(?)娘さんと向かい合いになり,バスの揺れに同期して顔が近づきキス状態です.彼女もまんざらではなさそうで接近しているよう(写真2-8).
 みんな貧しいはずなのに笑顔が美しい…



写真2-8 ナイスガイとはにかむ娘さん
彼女のかぶっている黄色のものは日本でいうスーパーでくれるビニール袋.


 バスはよたよたと走り,かなた丘の上に目指すラリベラ見えてきました.


●現地に同化できれば1泊1500円!
 ラリベラ到着後,子供の案内でホテルを探しました(写真2-9).少し下がったところにある1泊1500円と手ごろなホテルに泊まることにしました.驚くなかれ! 近くには外国人(アビシャ)向けのヒルトンもあります.1泊1万円くらいですが現地に同化した私はこのホテルで充分です.お礼で子供に65円あげたあと,レストランで遅い昼食をとりました(写真2-10).



写真2-9 ラリベラ到着! 周りは山だ!
後ろの看板には「LALIBERA PRISON ADM. OFFICE(ラリベラ拘置所)」と書いてある.ほんとかな? 写真には写っていないが「AIR PORT」という看板もある.アレーなんか違うかな??



写真2-10 ホテルのレストラン
伝統的なアビシャ向けの高級レストランは大体こんな感じで壁にはヤシの木が描かれていてラリベラらしくない.


 ラリベラでは,「タッジ」というはちみつワインが名物です(写真2-11).味は癖のない甘酒のようです.うまいが全く酔わないので,アルコール度はビールより低いと思います.タッジが飲めるタッジ・バーもあります(写真2-12).



写真2-11 ラリベラ名物のはちみつワイン「タッジ」
フラスコに入って45円.



写真2-12 国旗色で飾り付けた「タッジ・バー」


●「天国の階段」で天国へ…?
 翌日はラリベラ教会群を見学しましたが,天気は珍しく青空ではありませんでした.残念.
 エチオピアが誇る世界遺産であるにも関わらず周囲は簡単な針金と昔作られた土壁だけなので,たやすく出入りできます.貴重なものが持ち出されないのか? 何ともおおらかというか…


 入場料は,外国人が2600円で「エチオピア人は無料」.さらに待機している公営ガイドを雇わなければなりません.公営ガイドは半日1300円です…(エチオピア人の月給は5000円~10000円が相場).


 ラリベラ寺院群の多くは一つの岩山を掘ったり削ったりして作られています.岩質が柔らかのか風雨による痛みが進行していることが見て取れます(写真2-13).ユネスコが寺院の現状保存と改修のために屋根を付けたり大規模な修復など保存活動を行ったりしていました(写真2-14).



写真2-13 超有名な聖ギョルギス教会
ラリベラ十字教会の下を写すために近づきましたが,手すりがなくたいへん怖いです.私にはこれが限界.現地の人は足を投げ出して座ります.アディス行きの飛行機からも見えました.



写真2-14 修復中のゴルゴダ教会


 写真2-15のようにラリベラ寺院群の各所にエルサレムの地名を模した名前が付けられています.かつてはるか遠くはるばるエルサレムに巡礼していた人々のロマンを感じました.
 また,写真2-16の「天国の階段」は,高さが3階建ての屋根くらいはあります.階段がすり減っていかにも滑って落ちそうです.写真に写っている彼も座っていますが,本当の天国に行かないように…



写真2-15 ヨルダン川の橋から聖ギョルギス教会(十字型をした教会)を望む
水は流れていません.巡礼の集まるティムカットではこの辺りは人であふれるそうです.



写真2-16 天国への階段
どこかで聞いたことのある名前です.壁に掘られた十字架の下の穴をくぐると天国だそうです.どの施設も昔のままなので手すりや柵がなく怖い.高さは3階建ての建物くらいあります.


 旅行好きな読者は一度エチオピアのバス旅行に挑戦してみてはいかがでしょう? 少しワイルドですが,現地に着いたときの気の抜けたようなあんど感など一生の思い出になること請け合いです.そして人々の明るい笑顔と心に出会えます(写真2-17写真2-18).



写真2-17 空手のまねをするガキンチョ.かわいい



写真2-18 さすがラリベラの女の子.目線がかわいい

 

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